みなさんと話をしていますと、よく「就労ビザ」は取れますか?と聞かれます。
この「就労ビザ」にはいくつも種類がある事はご存じですか?(働けるビザですと20種類を超えます)
聞かれた私はこの話題がでるといつも戸惑います。どのビザの事なのだろう?どこまで話せばいいだろう?と。
ですので、今回「就労ビザ」と言われた時に話題に出やすいビザを確認したく思います。
就労ビザといわれて通常私の頭によぎるのは4種類あります。(この分け方は人により異なります)
1 技術・人文知識・国際業務(就労ビザでは一番多い)
2 技能
3 企業内転勤
4 経営・管理
この「技術・人文知識・国際業務」ビザは以前は、「技術」ビザと「人文知識・国際業務」ビザの二つだったものが、一つになって新しくなりました。
「技術」とは理学、工学その他自然科学の分野に属する技術または知識を要する業務をいいます。いわゆる「理系」の仕事です。
例えば、機械、建築、電気、工学系システムエンジニア、プログラマー等の技術系専門職があげられます。
「人文知識・国際業務」とは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務をいいます。いわゆる「文系」の仕事です。
例えば、経理、金融、総合職、会計、コンサルタント、貿易事務等、通訳・翻訳、語学講師、海外向け広報、デザインなどがあげられます。
特に最近人気のインバウンド対応のための通訳・翻訳、外国人が母国語を教えるための語学講師などはこのビザをまず検討することになります。
検討する時のポイント
① この「技術・人文知識・国際業務」ビザの対象となるのは主に大学・大学院・専門学校を卒業した学歴をお持ちの方、または一定の実務経験を有する方です。日本語学校のみしか卒業していない人は対象にはなりません。
② 申請人の学歴(実務経験)と従事しようとする業務との間に関連性があることが必要です。従って、理系の大学を卒業した人が電気系の技術職に就くことは困難です。またその逆も同じです。
加えて、大学卒業の場合は、学んできた内容と仕事の内容の関連性を緩やかに判断しますが、専門学校卒業の場合は、関連性を厳格に判断します。
このことは申請内容の審査時にも重要なポイントになりますので、常に意識する必要があります。
もっとも、現在の業務環境ではどこからどこまでが理系で、どこからどこまでが文系かを明確に区別することは難しいでしょう。従って、区別に迷ったとき、担当する業務に迷ったときは経験ある行政書士のアドバイスを受け慎重に決めることが重要です。
③ 上記②と関連して、このビザは学歴としての専門知識又は実務経験を評価されて与えられるものです。
従って、学業・実務経験とは関連性のない、単純労働はこのビザの対象にはなりません。
例えば、ライン作業、検品作業、食材のカット、清掃作業、レジ作業などがあげられます。
今後、日本にきた留学生が学校を卒業し、日本の国際化が進むと「技術・人文知識・国際業務」ビザの人気は益々高まる事でしょう。また、複雑化した社会の中、新しい事業・業務が増える中で、技術・人文知識・国際業務ビザに該当するかどうか微妙な案件は増えることと思われます。その際は是非、当事務所門までお気軽にお問い合わせ下さい。
「技能」とは産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を有する要する業務をいいます。
誤解を恐れずあえて言うならば「職人」といわれるような方たちを言います。
「技能」ビザというと現在最も多いのは「調理師」です。
「中国料理」「インドネパール料理」「フランス料理」などのシェフ・コックはこのビザに該当します。
ただ、注意すべきは元のルーツは各国の郷土料理にあるとはいっても、現在は日本で普遍化してしまっている料理は、この技能ビザの対象とはならない場合があります。例を挙げると、町のラーメン屋のコックですが、ラーメンは既に日本で一般化・普遍化しており、「技能」ビザの対象と認められない場合があります。
調理師以外に例をあげると、宝石・貴金属・毛皮加工、建築技術者、スポーツ指導者,航空機等の操縦者,外国製品の製造・修理(ペルシア絨毯やヨーロッパ製のガラス製品等)等があげられます。
検討する時のポイント
①原則として実務経験10年以上が必要です。
この10年の実務経験の証明ですが、来日前の母国での実務経験も考慮されます。実務経験の証明で最も簡単なのは在職を証明する事です。但し、10年といえばかなりの長期に及ぶため、転職を繰り返した人は、以前の店が閉店して証明できないなどの問題が発生し困難を伴います。また、最近は実際に母国の店に確認もされますので虚偽の内容は慎むほうがよいでしょう。
②上記の様に「技能」ビザは原則10年の実務経験を要しますが、一部の職種では緩和されています。
例えば、スポーツの指導者については3年、ワイン鑑定については5年以上などです。
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